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2024
Dec.26
国立ハンセン病資料館訪問で考えた「看護の本質」
12月上旬、私たちは医療と看護の共修科目「人文科学(日本史)」の授業で、
東村山市にある国立ハンセン病資料館を訪問しました。
この訪問を通じて、慈恵の理念である「病気を看ずして病人を看よ」という言葉の重みを改めて考える機会を得ました。
資料館では、ハンセン病の回復者が直面した差別や隔離政策の歴史が詳しく記録されており、
その中でも力強く生き抜いた人々の姿が心に深く残りました。
過酷な状況下でも、歌舞伎を演じたり、音楽や文学、工芸に取り組むことで、
自らの人生に輝きを与えた回復者たち。
文化や芸術を通じて「生きる意味」を見つけたその生き様から、
人間の持つ強さや尊厳を強く感じました。
しかし、医学が進歩してハンセン病が治療可能になった後も、回復者たちは社会に根強く残る偏見や差別に苦しみ続けました。
優生思想の影響もあり、回復者に対して行われた過酷な施策や差別の歴史には
大きな衝撃を受けました。
この問題は過去のものと思いがちですが、
コロナ禍における感染症への無知や恐怖が生んだ偏見や差別の現状を見ると、
今もなお同じ課題が続いているのではないかと感じます。
この訪問を通じて、看護師としての役割を改めて考えました。
患者さん一人ひとりの声に耳を傾け、その心に寄り添い、安心して自分らしく生きられる環境をつくること。
それが「病気を看ずして病人を看よ」という言葉の意味であり、看護の本質なのだと強く感じました。
国立ハンセン病資料館での体験は、看護学生としてだけでなく、一人の人間としても大切な財産となりました。
ぜひ、皆さんも資料館を訪れ、この歴史に触れてみてはいかがでしょうか。
(文:1年生)